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貧血

貧血とは

貧血とは、体内の赤血球(赤血球)の量が減少した状態を指します。赤血球は体内で酸素を運ぶ役割を持っており、貧血になると酸素供給が不十分になり、全身の細胞や組織に酸素が十分に行き渡らなくなるため、疲れやすさやめまい、息切れなどの症状が現れます。貧血の原因には、鉄欠乏性貧血、ビタミンB12欠乏性貧血、腎臓病性貧血、溶血性貧血などがあります。適切な治療が必要です。

貧血の定義

貧血とは、血液中のヘモグロビン量が正常値よりも低下して、血液の酸素運搬能力が低下する状態のことを指します。貧血の基準値は、成人女性でヘモグロビン値が12g/dL未満、成人男性で13g/dL未満とされています。ただし、年齢や性別、人種そして施設によっても基準値は異なる場合があります。

貧血の検査には、以下のような方法があります。

  1. 血液検査:血液検査により、赤血球の数やヘモグロビン量、ヘマトクリット値などを測定することができます。これらの数値が低い場合、貧血と診断されることがあります。

  2. 骨髄穿刺:骨髄穿刺は、骨髄から細胞を取り出し、その形態や量などを調べる検査です。貧血の原因が骨髄異常にある場合に行われます。

  3. 内視鏡検査:貧血の原因が消化管からの出血にある場合、内視鏡検査が行われます。胃カメラや大腸カメラなどが使われます。

  4. 尿検査:貧血の原因が腎臓病である場合、尿検査が行われます。尿からタンパク質や赤血球などが検出されると、腎臓に問題があることが示唆されます。

これらの検査を行い、貧血の原因を特定することが大切です。

貧血の原因

貧血の原因はさまざまで、以下のようなものがあります。

  1. 鉄欠乏性貧血:鉄分が不足することで、ヘモグロビンの合成が十分に行われず、赤血球が減少する。出血や妊娠中の女性、乳幼児期の成長期などに起こりやすい。

  2. ビタミンB12欠乏性貧血:ビタミンB12が不足することで、核酸合成に必要なチミジル酸の生成ができず、赤血球が減少する。自己免疫疾患、膵臓や腸の手術、慢性的な胃炎、吸収不良症候群などによって引き起こされる。

  3. 肝臓疾患:肝臓の障害により、ビタミンB12、葉酸、鉄分の吸収や貯蔵が妨げられる。

  4. 腎臓疾患:腎臓が正常に機能しないことで、エリスロポエチンの分泌が減少し、貧血を引き起こす。

  5. 慢性的な疾患:がん、炎症性腸疾患、リウマチなどの炎症が持続する状態では、体内の鉄分が消耗しやすくなるため、貧血を引き起こすことがある。

  6. 遺伝性貧血:遺伝子異常によって、ヘモグロビンの合成が不十分な場合がある。代表的なものに鎌状赤血球症がある。

  7. 出血:急激な出血によって、赤血球数が減少し貧血を引き起こす。消化管出血、外傷、手術、月経などが原因となる。

  8. その他の原因:薬物の副作用、アレルギー、慢性的なストレスなどが貧血を引き起こすことがある。

    以下に、貧血の主な原因とそれぞれの原因における代表的な症状や特徴をまとめました。

    貧血の原因 代表的な症状や特徴
    鉄欠乏性貧血 疲れやすさ、息切れ、めまい、頭痛、肌や爪の色の変化、食欲不振
    ビタミンB12欠乏性貧血 疲れやすさ、息切れ、めまい、手足のしびれ、不眠、うつ病、食欲不振
    腎臓病性貧血 疲れやすさ、息切れ、めまい、貧血以外にも腎臓病の症状がある場合が多い
    慢性炎症性貧血 疲れやすさ、息切れ、めまい、発熱、体重減少、関節痛
    遺伝性球形赤血球症 疲れやすさ、息切れ、めまい、黄疸、脾臓の腫れ、胆石症
    二次性多血症 疲れにくさ、顔面や手足のほてり、頭痛、動悸、視力低下
    悪性貧血 疲れやすさ、息切れ、めまい、全身のだるさ、発熱、白血病やがんなどの症状

    ただし、これらの症状はあくまでも一例であり、必ずしもすべての患者さんで現れるわけではありません。また、同じ原因であっても症状の程度や頻度は人によって異なるため、診断や治療には医師の判断が必要です。

貧血の予防法

貧血の予防法には以下のようなものがあります。

  1. 鉄分を十分に摂取すること:貧血の原因の一つである鉄欠乏を防ぐため、鉄分の多い食品を摂取することが重要です。肉類、魚介類、豆類、ほうれん草、レバー、玄米、海藻などが鉄分の多い食品です。

  2. ビタミンCを摂取すること:ビタミンCは鉄分の吸収を促進する働きがあります。レモン、オレンジ、グレープフルーツ、キウイフルーツ、トマトなどの食品に多く含まれています。

  3. 栄養バランスの良い食事を心がけること:栄養バランスの良い食事を摂ることで、貧血以外の病気の予防にもつながります。

  4. 運動すること:運動により血行が良くなり、酸素や栄養素を含む血液の流れがスムーズになるため、貧血の予防につながります。

  5. 妊娠中の女性は特に注意すること:妊娠中は胎児の発育に必要な鉄分を摂取する必要があるため、鉄分の多い食品を積極的に摂取することが大切です。

ただし、貧血は原因や症状によって種類が異なるため、原因に応じた専門医の治療を受けることが必要です。

*貧血の改善には、鉄分やビタミンB12、葉酸などの栄養素が必要ですが、ビタミンCも重要な役割を果たします。ビタミンCは、食物から吸収された鉄分の吸収を促進するために必要であり、また赤血球の生成にも関与しています。

貧血の原因によっては、ビタミンCが不足している場合もあります。ビタミンCは、果物や野菜に多く含まれており、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、トマト、ピーマン、ブロッコリーなどが良い例です。

ビタミンCを豊富に含む食物をバランスよく摂取することで、貧血の改善に役立つことがあります。ただし、ビタミンCの過剰摂取は、下痢や腹痛などの副作用があるため、適量を守って摂取することが大切です

貧血の治療法

貧血の治療法は、原因によって異なります。一般的に、貧血の治療には以下の方法があります。

  1. 基礎疾患の治療:貧血の原因が、栄養不良や胃腸の疾患、癌、出血などの基礎疾患にある場合、その原因を治療することがまず重要です。

  2. 鉄剤の投与:貧血の原因が鉄欠乏によるものである場合、鉄剤を投与することが効果的です。鉄剤には、鉄剤錠や鉄剤シロップ、注射薬などがあります。

  3. ビタミン剤の投与:貧血の原因がビタミンB12や葉酸の不足によるものである場合、ビタミン剤を投与することが効果的です。

  4. 輸血:重症の貧血では、輸血が必要になる場合があります。

  5. 骨髄移植:遺伝性の貧血症候群や再生不良性貧血など、骨髄異常が原因の場合、骨髄移植が必要な場合があります。

また、貧血を改善するためには、栄養バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動、ストレスを減らすなどの生活習慣の改善も重要です。

貧血の治療薬の種類

貧血の治療薬には、以下のようなものがあります。

  1. 鉄剤:鉄欠乏性貧血の治療に使用されます。鉄剤には、鉄剤錠、鉄剤シロップ、鉄剤注射液などがあります。鉄剤を適切に服用することで、赤血球の形成が促進され、貧血の改善が期待できます。

  2. ビタミンB12剤:ビタミンB12欠乏性貧血の治療に使用されます。ビタミンB12剤には、ビタミンB12注射液、ビタミンB12錠剤などがあります。ビタミンB12剤を適切に投与することで、赤血球の生成が促進され、貧血の改善が期待できます。

  3. エリスロポエチン製剤:腎臓疾患などで発生する貧血の治療に使用されます。エリスロポエチン製剤には、ダルベポエチン、エポエチンアルファ、エポエチンベータなどがあります。これらの製剤を適切に投与することで、貧血の改善が期待できます。

  4. 輸血:重症の貧血の治療には、輸血が必要になることがあります。輸血には、赤血球濃厚血液、赤血球懸濁液、全血、血漿、血小板濃厚液などがあります。ただし、輸血には感染症やアレルギー反応などのリスクが伴うため、十分な検査や注意が必要です。

貧血の治療には、原因に合わせた治療薬の選択や、食生活の改善、適度な運動などが重要です。また、治療を受けながら、貧血の症状が改善されるまで十分な休息を取り、無理な身体活動を避けることも大切です。

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