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甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症とは

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって代謝が亢進した状態を指します。甲状腺ホルモンは、人体の代謝や成長、発育に関与するホルモンであり、過剰に分泌されると体内の代謝が亢進し、様々な症状を引き起こします。甲状腺機能亢進症は、原因となる疾患によって、いくつかの種類に分類されますが、最も一般的な原因は、自己免疫による甲状腺の慢性的な炎症によるもので、グレーブス病と呼ばれることがあります。

甲状腺機能亢進症の症状には以下があります。

  • 無気力感や疲労感
  • 発汗や多汗症
  • 頻脈や動悸、息切れ、手の震え
  • 体重減少や食欲亢進
  • 下痢や軟便、腹痛
  • 眼球突出や視力低下、二重視
  • 声のかすれやのどの痛み、嚥下障害
  • 月経異常や不妊、勃起不全や性欲亢進

甲状腺機能亢進症の定義

甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう、英: hyperthyroidism)とは、甲状腺ホルモンの過剰分泌によって引き起こされる内分泌疾患の一つで、代謝率が亢進し、体の各器官に様々な影響を与える病態を指します。甲状腺ホルモンの中でも、T3(三ヨウ化チロキシン)やT4(四ヨウ化チロキシン)などが過剰に分泌されることによって、身体の各器官の働きが亢進するため、心拍数が増加し、疲れにくい状態が続くなどの症状が現れます。甲状腺機能亢進症は、女性に多くみられ、20~50歳代に発症することが多いとされています。治療法には薬物療法や手術、放射線治療などがあります。

甲状腺機能亢進症の診断には、以下の検査が行われます。

  1. 血液検査:血液中の甲状腺ホルモン値を測定します。甲状腺刺激ホルモン(TSH)が低下していることが特徴的です。また、血液中のT4やT3などのホルモン値も上昇しています。

  2. 超音波検査:甲状腺の大きさや形状、組織の異常を調べるために、超音波検査が行われます。

  3. 放射性ヨウ素検査:放射性ヨウ素を摂取し、甲状腺の機能を評価する検査です。甲状腺機能亢進症の場合、放射性ヨウ素を摂取しても、甲状腺が過剰にヨウ素を取り込むため、濃くなることが特徴的です。

  4. 超音波、CTやMRIなどの画像検査:甲状腺やその周辺の組織の詳細を調べるために、超音波、CTやMRIなどの画像検査が行われることがあります。当院でも超音波検査は適宜施行可能です。

これらの検査を総合的に評価することで、甲状腺機能亢進症の診断が行われます。

甲状腺機能亢進症の原因

甲状腺機能亢進症の原因は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることにより引き起こされます。甲状腺ホルモンは、体内の代謝を調節する重要な役割を持っており、体温や心拍数、血圧、呼吸などの生体機能を調節しています。甲状腺機能亢進症では、甲状腺ホルモンの過剰分泌が継続的に起こり、体内の代謝が加速されるため、症状が現れます。

甲状腺機能亢進症の原因には、以下のようなものがあります。

  1. 自己免疫疾患:甲状腺自己抗体が甲状腺刺激ホルモン受容体に結合し、過剰な甲状腺ホルモンの分泌を促進することにより、甲状腺機能亢進症を引き起こすことがあります。代表的な疾患として、Graves病が挙げられます。

  2. 腫瘍性:甲状腺腫瘍が過剰に甲状腺ホルモンを分泌することや、下垂体の腫瘍が甲状腺に甲状腺ホルモンを過剰に産生するように指示することによって、甲状腺機能亢進症を引き起こすことがあります。

  3. 薬剤:一部の薬剤が甲状腺ホルモンの過剰分泌を引き起こすことがあります(アミオダロン,がん治療に使用される免疫チェックポイント阻害薬,多発性硬化症の治療に使用されるアレムツズマブ,またはインターフェロンα等)。

  4. ストレス:ストレスが長期間続くことによって、甲状腺ホルモンの過剰分泌を引き起こすことがあります。

甲状腺機能亢進症の治療法

甲状腺機能亢進症の治療法には、薬物療法や手術療法、放射性ヨウ素療法があります。

まず、薬物療法では、甲状腺ホルモン合成を抑制する薬剤(プロピルチオウラシル、チアマゾールなど)を投与し、甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑制します。また、甲状腺機能亢進症による症状(不眠、興奮、発汗、手の震え、心拍数の上昇など)を和らげるために、ベータ遮断薬(プロプラノロールなど)も併用されることがあります。

手術療法では、甲状腺全摘出が行われます。ただし、手術には合併症のリスクがあるため、原則として薬物療法による治療を優先します。また、薬剤による治療が効果が不十分である場合や、薬剤治療が困難な場合に手術が選択されることがあります。

放射性ヨウ素療法は、口から摂取する放射性ヨウ素を甲状腺に取り込ませ、甲状腺細胞を破壊するラジオアイソトープ治療のひとつです。ただし、放射線による合併症や、甲状腺機能低下症を引き起こす可能性があるため、適応は限られています。

手術や放射線での治療が必要な際は適切なタイミングにより高次な病院に紹介させていただきます。

甲状腺機能亢進症の治療薬の種類

甲状腺機能亢進症の治療薬には以下のような種類があります。

  1. 抗甲状腺薬剤:甲状腺ホルモンの産生を抑制する薬で、チアマゾールやプロピルチオウラシルなどがあります。

  2. β遮断薬:甲状腺ホルモンによる自律神経興奮を抑える薬で、心拍数や血圧を下げる効果があります。

  3. 放射性ヨウ素:甲状腺細胞に取り込まれて放射線を発し、甲状腺機能を低下させる薬で、手術や抗甲状腺薬治療が効果的でない場合に使用されます。ただし、放射線被ばくのリスクがあるため、妊娠中や授乳中の女性は使用できません。
  4. 手術:薬物療法が効果的でない場合や、腫瘍がある場合には、甲状腺の部分切除や全摘出が行われることがあります。

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