メニュー

クローン病

クローン病とは

クローン病(Crohn's disease)は、炎症性腸疾患の一つで、消化管のどの部位でも発症する可能性がある慢性疾患です。主に末梢部位に発症し、口から肛門までの消化管全体に炎症を引き起こし、腸の壁に潰瘍や狭窄を形成します。病気の進行によっては、腸管の壁に穴が開いて腹膜炎を引き起こすこともあります。クローン病は、年齢や性別に関係なく、若年層から高齢者まで、幅広い年齢層で発症します。

クローン病の定義

クローン病(Crohn's disease)は、消化管のどの部分にでも発生する慢性の炎症性腸疾患の一種です。主に末梢小腸や大腸、口から肛門までの消化管に発生し、壁全体にわたる炎症や隆起、潰瘍、狭窄を引き起こします。クローン病は病気の炎症部位の細胞レベルで特定される「炎症性細胞浸潤」と、炎症箇所とその周辺の健康な組織に発生する「微小血管新生」が特徴的な疾患です。クローン病は、日本では特定疾患に指定されており、慢性疾患の一つとして扱われています。

クローン病の診断には、以下の検査法が用いられます。

  1. 内視鏡検査: 内視鏡による粘膜観察により、病変部位の有無や程度を確認することができます。また、組織を採取して病理検査を行うことが可能です。最終的には病理診断で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を確認して診断します。

  2. 血液検査: 炎症反応を示すC反応性タンパク質(CRP)や赤血球沈降速度(ESR)などを測定することで、クローン病の活動度や進行度合いを判断することができます。

  3. 糞便検査: 糞便中の炎症マーカーや、鑑別のために便中の細菌や寄生虫を調べることができます。

  4. X線検査: 小腸の造影剤を飲ませて、X線によって小腸の内部を観察する小腸透視検査や、腹部のCT検査を行うことで、腸管の状態を確認することができます。

これらの検査を総合的に行うことで、クローン病の診断や進行度合いの評価が行われます。ただし、クローン病は炎症性腸疾患のひとつであり、他の炎症性腸疾患との鑑別が必要となります。

クローン病の原因

クローン病の正確な原因は分かっていませんが、遺伝的、環境的、免疫学的な要因が関与していると考えられています。遺伝的要因は、クローン病の発症に関係する遺伝子の変異や複数の遺伝子の組み合わせが影響している可能性があります。環境的要因は、喫煙、食生活、ストレス、細菌やウイルスの感染などが関与すると考えられています。免疫学的要因は、自己免疫反応が過剰に起こることによって、腸管の炎症が引き起こされると考えられています。これらの要因が相互作用して、クローン病が発症するとされています。

クローン病の予防法

現在、クローン病の完全な予防法は確立されていません。しかしながら、以下のような予防的な行動が推奨されています。

  1. 喫煙を避ける:クローン病に罹患するリスクは、喫煙者に比べて非喫煙者の方が高いことが報告されています。

  2. バランスの良い食生活を心がける:健康的な食事は、消化器系の健康を維持するために重要です。

  3. ストレスを避ける:ストレスが炎症を悪化させる可能性があるため、ストレスを避けることが重要です。ストレスを軽減するためには、瞑想、ヨガ、アクセスバーズ、マインドフルネスなどの方法が役立ちます。

  4. 抗生物質の過剰摂取を避ける:抗生物質の過剰摂取は、正常な腸内細菌叢を破壊し、炎症を引き起こす可能性があるため、避けることが望ましいです。

  5. 免疫力を高める:健康な生活習慣、適度な運動、十分な睡眠などは、免疫力を高めることに役立ちます。

ただし、これらの方法で完全に予防できるわけではなく、遺伝的要因などの影響もあります。症状が出た場合は、早期に医師の診断を受け、治療を行うことが重要です。

クローン病と大腸がん

クローン病などの炎症性腸疾患と診断された患者さんは、大腸がんの検診のため、定期的な内視鏡検査をお勧めします。

 海外からの報告ですが、クローン病の患者さんの大腸がんが発生する確率は、一般の方と比較し2.4倍と報告されています。日本での患者さんの数が少ないため、不明な点もありますが、定期的な内視鏡検査をうけることをお勧めします。

クローン病の治療法

クローン病の治療法には、以下のような方法があります。

  1. 薬物療法:クローン病の初期段階では、炎症を抑えるための薬物療法が行われます。ステロイドや5-ASA、免疫抑制剤、生物学的製剤などの薬剤が使われます。これらの薬剤は、病気の進行を遅らせ、症状を軽減することができます。

  2. 栄養療法:重度のクローン病の患者では、食事療法が必要になる場合があります。栄養療法は、消化器官に負担をかけないように、ビタミン、ミネラル、タンパク質、糖質、脂質をバランスよく摂取することが目的です。特に、腸管内栄養療法(TPN)が有効です。

  3. 手術療法:クローン病の合併症である腸管閉塞や腸管狭窄などは、手術で改善することができます。また、治療に反応しない場合や発展した病態の場合は、手術を選択することがあります。手術には、腸管切除、腸管吻合、ストーマ造設などがあります。

  4. 経過観察:軽度のクローン病の場合、症状が進行しない限り、薬物治療を行わずに、定期的な経過観察で治療することがあります。

クローン病は、治療が長期にわたるため、治療の効果や副作用を適切に評価することが重要です。また、治療は個人差がありますので、患者さんと医師が共に検討し、最適な治療法を選択する必要があります。

 

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME