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熱傷

熱傷とは

熱傷とは、高温の熱源(火や熱湯、蒸気、電気など)によって皮膚やその他の身体組織が損傷を受けることを指します。熱傷は、その原因によって一次性熱傷、二次性熱傷、三次性熱傷に分類されます。

  • 一次性熱傷:熱源によって直接皮膚が損傷を受ける傷で、火傷や熱傷とも呼ばれます。熱媒体としての熱エネルギーが、皮膚の表層を破壊し、痛み、紅斑、水疱などの症状を引き起こします。
  • 二次性熱傷:熱傷によって水疱が破裂し、皮膚表面にかかる圧力や熱源によって、破壊された細胞が周囲の組織に拡散し、新たな皮膚損傷を引き起こす傷です。通常、治癒には二次性熱傷が原因の損傷と、一次性熱傷と同じく、治療が必要です。
  • 三次性熱傷:細菌感染や血管障害など、二次的な合併症が発生した熱傷のことを指します。通常、化膿性や壊疽性の合併症を引き起こし、重篤な状態になる場合があります。

熱傷の治療は、傷の程度や深さ、大きさ、患者の状態に応じて異なります。通常、軽度の熱傷は、患部を冷水で冷やす、保湿剤を使用するなどの簡単な処置で治療できます。しかし、重度の熱傷の場合は、皮膚移植や手術が必要な場合があります。治療を受ける前には、専門医による診断と処置が必要です。

受傷温度と接触時間の関係

Little child playing with pan and electric stove in the kitchen

熱傷の受傷温度と接触時間の関係は、以下のようになっています。

  • 68度以上の熱湯や油:1秒未満で熱傷を起こすことがあります。
  • 60度程度の熱湯:5秒程度で熱傷を起こすことがあります。
  • 56度程度の熱湯:15秒程度で熱傷を起こすことがあります。
  • 52度程度の熱湯:1分程度で熱傷を起こすことがあります。
  • 48度程度の熱湯:5分程度で熱傷を起こすことがあります。

ただし、個人差や肌の状態によって異なるため、一概には言えません。また、火傷は温度だけでなく、熱源の種類や熱の伝わり方によっても影響を受けるため、注意が必要です。

熱傷の深度

熱傷の深度は以下の4つに分類されます。

  1. I度熱傷: 表皮の赤みや腫れなど、軽度の表在性の熱傷です。痛みは強いですが、治癒までに時間がかかることはありません。

  2. II度熱傷: 表皮と真皮の一部が損傷する深度の熱傷です。水ぶくれができたり、赤く腫れたり、痛みが強くなります。治癒までに数週間かかることがあります。:

    II度の熱傷には、以下の2つのタイプがあります。

    1. IIa度(浅達性II度):表皮と真皮の一部が損傷している熱傷で、水疱や赤みがある場合があります。痛みが強く、感染のリスクがあるため、清潔な処置をする必要があります。保湿剤や抗生物質の塗布、水疱が大きい場合には穿刺排液を行うことがあります。

    2. IIb度(深達性II度):表皮と真皮の全層が損傷している熱傷で、水疱が形成されずに膨らみ、白く見えます。痛みはIIa度よりも強く、感染のリスクも高いため、早急に治療する必要があります。熱傷部位を清潔に保ち、外用薬や絆創膏を用いて保湿・治癒促進を促すことが一般的です。熱傷の大きさや深さ、部位によっては手術的な治療が必要な場合もあります。

  3. III度熱傷: 表皮と真皮全体、さらには皮下脂肪層にまで損傷が及んだ深度の熱傷です。傷口は焦げ茶色や黒色に変色し、皮膚感覚がなくなることがあります。自然治癒ができず、手術的な治療が必要となることがあります。

  4. IV度熱傷: 皮膚を貫通し、筋肉や骨、内臓にまでダメージが及んだ深度の熱傷です。かなり重篤な状態で、通常の治療では治癒ができません。大きな外科的処置や切断が必要となることがあります。

熱傷時の検査

小さい範囲の熱傷であれば検査は通常必要ありません。しかしながら熱傷が広範囲や深部に至る場合は血液検査や尿検査を行うことがあります。

また、気道熱傷が疑われる場合は、動脈血液のがす分析や胸部のレントゲン検査、心電図検査等を行うことがあります。

熱傷の治療法

熱傷の深度によって治療法が異なります。以下に熱傷の深度別の治療法をまとめました。

  1. 浅い熱傷(表層皮膚熱傷、浅い部分厚み皮膚熱傷):このタイプの熱傷は、軽度の炎症と痛みがありますが、治癒まで数日から2週間程度で済むことが多いです。治療法としては、熱源から離れ、患部を流水で冷やすことが推奨されます。また、薬剤の塗布やドレッシングを行うことで、痛みや炎症を緩和することができます。

  2. 中程度の熱傷(深い部分厚み皮膚熱傷):このタイプの熱傷は、皮膚が水ぶくれを形成し、皮膚の脱落や瘢痕形成が見られることがあります。治療法としては、抗生物質の塗布や、傷口を覆うドレッシングを使用することで感染を予防することが重要です。また、痛みを軽減するために、非ステロイド性抗炎症薬を投与することがあります。

  3. 深い熱傷(全層皮膚熱傷):このタイプの熱傷は、皮膚の全層が損傷しているため、深い瘢痕や機能障害が残る可能性があります。治療法としては、早期に外科手術を行い、損傷した皮膚を切除し、皮膚移植を行うことが必要となります。手術後は、局所抗生物質や痛み止めの投与、創部のドレッシングを行うことで、傷の治癒を促します。

熱傷の治療は、早期に適切な治療を行うことが重要です。熱源から離れ、流水で洗浄すること、抗生物質の塗布やドレッシングの使用、外科手術など、患者の状態に応じた治療法を選択することが大切です。

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