睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)
睡眠時無呼吸症候群 (SAS: Sleep Apnea Syndrome)とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止する病気です。主に以下の2つのタイプがあります。
・閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS: Obstructive Sleep Apnea Syndrome)
・中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS: Central Sleep Apnea Syndrome)
OSASは、睡眠中に上気道が狭くなり、空気の流れが阻害されることで無呼吸が発生します。肥満や解剖学的な要因、加齢などが原因で起こります。治療には、減量、CPAP: Continuous Positive Airway Pressure(持続陽圧呼吸療法)、口腔内装置、場合によっては手術が含まれます。一般的に睡眠時無呼吸症候群というとこのOSASを指すことが多いです。
CSASでは、脳からの呼吸指令が適切に送られないために無呼吸が起こります。心不全や脳卒中、薬物の影響などが原因であることが多いです。治療は原因に応じて異なりますが、呼吸を促進する薬物療法や、CPAP療法が用いられることもあります。
無呼吸の状態は、睡眠の質を低下させ、日中の眠気や集中力の低下を引き起こすことがあります。また、放置すると高血圧や心疾患、糖尿病などのリスクが高まるため、早期の診断と治療が重要です.
睡眠時無呼吸症候群の定義
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止するか、非常に浅くなる状態を繰り返す病気です。医学的には、無呼吸とは10秒以上の呼吸停止(気道の空気の流れが止まった状態)を指し、この無呼吸が1時間に5回以上、または一晩7時間の睡眠中に30回以上ある場合に「睡眠時無呼吸症候群」と診断されます。
簡単には、以下のように定義されます:
・10秒以上続く無呼吸・低呼吸が1時間に平均5回以上認められる。
・一部は心拍数や血圧のような自律神経の活動性
が低く、規則正しい睡眠中にも認められる。
睡眠時無呼吸症候群は、治療しない場合、心臓発作、脳梗塞、糖尿病、心不全、不整脈、肥満、交通事故などのリスクが増加するとされています。そのため、早期の診断と治療が非常に重要です。
睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因は、そのタイプによって異なります。
OSASの原因は以下の通りです:
・肥満: 肥満は最大の原因で、特に上気道やその周辺に脂肪がつき、喉や上気道が狭くなることで無呼吸が生じます。
・頭蓋顎顔面形態: 上顎や下顎のサイズや位置の異常、鼻腔が狭いなどの解剖学的特徴が原因であることがあります。
・性別・年齢: 男性に多く見られ、加齢とともに男女差は小さくなります。更年期以降の女性ではホルモン分泌バランスの変動により発症リスクが上がります。
CSASの原因は以下の通りです:
・心不全・脳卒中: 心不全や心房細動、脳卒中などの病気が主な原因です。
・薬物: がん治療などで用いられるオピオイド系の鎮痛薬を慢性的に服用することによって、CSASが生じることもあります。また、睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中におこるため、病気の存在に気づきにくいことがあります。肥満ではない方でも発症することがあり、日中に眠たくならない場合もあるため、自覚症状がないことが多いです2。
睡眠時無呼吸症候群は、放置すると心臓発作、脳梗塞、糖尿病、心不全、不整脈、肥満、交通事故などのリスクが増加するため、疑わしい症状がある場合は医療機関での相談をお勧めします。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療法は、患者さんの状態や症状の重さに応じて異なりますが、主に以下の方法があります:
・持続陽圧呼吸療法(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure): CPAP装置を使用し、睡眠中にマスクを装着して空気を送り込むことで気道が塞がるのを防ぎます。特に日中の眠気が強い患者さんや中等症〜重症の患者さんに適用されます。
・口腔内装置(OA)治療: 就寝時に装着するマウスピースを使用し、下あごが固定されることで気道が塞がるのを防ぎ、呼吸を楽にします。軽症〜中等症の患者さんやCPAP療法が適さない患者さんに対して行われます。
・手術による治療: アデノイド肥大や扁桃肥大が原因で気道が塞がり、睡眠時に呼吸障害が起きている場合、手術を行うことがあります。また、鼻づまりが原因でSASになっている場合にも手術が検討されます。
・生活習慣の改善: 減量、禁酒、禁煙、睡眠中の体位変更(仰向けから横向きへ)など、生活習慣の見直しもSASの改善に役立ちます。
その他の治療: CPAP療法やOA治療が適さない患者さんに対して酸素療法を行うことがありますが、保険適用外となることが多いです。
SASが軽症の場合は、減量や生活習慣の見直しだけで症状が改善することもありますが、症状が進んでしまった患者さんは、治療によって睡眠の質がよくなると、減量や生活習慣の改善にも前向きに取り組めるようになり、相乗効果が期待できます。
治療法には個人差があり、医師と相談しながら最適な方法を選択することが重要です。
持続陽圧呼吸療法(CPAP)の導入について
持続陽圧呼吸療法(CPAP)を導入するには、以下のステップを踏む必要があります:
・医師による診断: まずは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断を受けるために医師に相談し、適切な検査を受けてください。当院でもSASの検査を積極的に行っております。ご気軽にご相談ください。
・CPAP装置の選定: 医師や専門業者と相談し、自分の状況やニーズに合ったCPAP装置を選びます。マスクの種類やサイズも個人差があるため、適切なフィット感のあるマスクを選ぶことが大切です。
・CPAP装置の設定: CPAP装置の圧力設定は医師が行います。固定圧と自動調整圧の2種類があり、多くの場合、自動調整圧が使用されます。
・実際の使用: マスクをしたまま眠ることで、CPAPが効果的に働き、無呼吸の症状が改善されることが期待できます。最初は違和感を感じるかもしれませんが、慣れることで快適に使用できるようになります。
・定期的なフォローアップ: 定期的な受診により、CPAPの装着状況や効果を確認することとなります。CPAP治療を続ける中で、違和感や不快感が続く場合は、医師や専門業者に相談し、マスクのサイズや形状の変更、圧力設定の調整などを検討しましょう。
CPAP治療は無呼吸の症状改善や合併症の予防に効果があるため、根気強く続けることが重要です。また、CPAPは医療機器のため、医師の指示の下で使用する必要があります。