咬傷
咬傷とは
咬傷とは、人間や動物によって噛まれた際に引き起こされる傷のことを指します。噛まれた箇所や噛んだ相手によって、深刻な場合は命にかかわることもあります。
咬傷は、主に以下の3つに分類されます。
1.人間による咬傷:口論や暴力などで人間によって噛まれた場合。
2.動物による咬傷:犬、猫、ネズミ、ヘビ、クモなど、様々な動物によって噛まれた場合。
3.自噛:自分自身でかんでしまった場合。
咬傷の症状は、傷口の出血や腫れ、痛み、感染症状などが現れます。また、噛まれた相手の歯の形跡が残った場合は、それをもとに噛んだ相手の動物種を特定することも可能です。
治療は、傷口を十分に洗浄し、抗生物質の処方、破傷風の予防注射、必要に応じて手術などが行われます。深刻な咬傷の場合は、高次な病院での治療が必要です。また、噛まれた相手の動物が狂犬病*などの感染症を持っている可能性がある場合は、適切な処置が必要です。
*狂犬病は、狂犬病ウイルスを持った動物(主に野生動物)に咬まれることによって感染する疾患です。日本では、狂犬病の発生自体は稀で、近年では年間数件の発生が確認されていますが、多くは海外渡航歴のある患者さんや海外からの動物の持ち込みによるものです。日本国内においては、狂犬病ウイルスを持った野生動物の発生頻度が非常に低く、定期的な狂犬病予防対策によって感染の発生は抑制されています。
咬傷の種類
咬傷には以下のような種類があります。
- 動物による咬傷
- 犬による咬傷
- 猫による咬傷
- サルによる咬傷
- ネズミによる咬傷
- 熊による咬傷
- ヘビによる咬傷
- 人による咬傷
- 自噛
- けんかや暴力事件などによる人間同士の咬傷(fight bite)
- その他
- 昆虫・ダニ等による咬傷
- クラゲによる咬傷
咬傷の治療法
咬傷の治療法は、咬まれた箇所や傷の程度、症状の重さによって異なります。基本的な治療は以下のようになります。
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洗浄・消毒 :傷口を十分な流水で洗浄し、消毒液で消毒します。消毒には、イソジン液やヨードチンキ、エタノールなどを使用します。
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処置 :傷口が深い場合は、縫合や切開を行う場合もあります。また、骨折や脱臼などの合併症がある場合には、それらの処置も必要になることがあります。
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抗生物質の投与 :咬まれた箇所が感染している場合には、抗生物質を投与することがあります。
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狂犬病予防接種の検討 :万一狂犬病が否定できない犬などに咬まれた場合には、狂犬病予防接種の検討が必要です。狂犬病ウイルスが含まれる唾液などが傷口に侵入すると、狂犬病に感染する可能性があるため、予防接種は重要です。
治療後は、適切な絆創膏や包帯で傷口を覆い、十分な安静と衛生管理を行います。また、傷口周辺の腫れや痛みがある場合には、消炎鎮痛剤の処方も行われることがあります。治療後は、定期的に通院し、傷口の経過を確認します。